チームジャパンに聞く: 中村俊介、山下珂歩/ 永田裕人​、岸本彩良 / 田村篤彦 各選手が新プログラムと23-24シーズンについて語る

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新シーズンを前に、男子シングルスの中村俊介選手、アイスダンスの山下珂歩/ 永田裕人、岸本彩良 / 田村篤彦各選手に話を聞いた: 前シーズン国内、国外で活躍した各選手は、今季の大会に向けて準備を重ねている。去年のプログラムをさらに磨きあげ、あるいは新たなプログラムを作り、技術性と芸術性の両面を意識しながら、去年の成果を生かし、さらなる好成績を目指して奮闘中だ。

中村俊介選手

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昨年のジュニアグランプリファイナルでは、中村俊介選手は、イタリアのニコライ・メモラ、アメリカのルーカス・ブルサール、そして中村選手の日本のチームメートである吉岡希に次ぎ4位となり、惜しくも表彰台を逃した。「ジュニアグランプリファイナルは目標の一つでもあったので、出場できたことがとっても嬉しかったのですが、表彰台も狙えた内容だったので悔しさもありました」と 語ってくれた。表彰台を目指した全日本ジュニア選手権でも4位となり、「一年を通すと悔しいシーズンになった」と中村選手。しかし、今年はさらなる向上を目指す。今シーズンの目標と夢は「全日本ジュニア、JGPF、世界ジュニアで勝つこと。

中村選手は昨年と同じショートプログラム『El Conquistador』で23-24シーズンを迎える。この決断の理由について、「ショートは自分自身大好きでもうワンシーズンかけてブラッシュアップした演技をしたいと思ったからです」と答えてくれた。

今、特に練習したり、磨きをかけている要素は何ですか。

ジャンプに関しては4回転トゥーループと4回転サルコーでプログラムはとくにステップと繋ぎを意識して練習してきました。

今季のフリープログラムは『ナザレの子』:アメリカの元スケータージョニー・ウィアーが滑った曲でもあり、そのプログラムが好きで「とっても滑ってみたかった。」プログラムの振り付けのために振付師宮本賢二氏のもとへ行き、「指先まで気を配りながら、音楽をしなやかに美しく表現することに取り組んだ」と語ってくれた。

今季の衣装はどんな感じになりますか。

ショートは昨年と同じで、フリーは青系です。

指先まで気を配る:中村選手はこういった細かいところまで今季観客に見てもらいたいと思っている。ショートプログラムのために「ステップをとにかく練習してきた」中村選手は観客に「音楽にあった踊りを見て欲しいです」と意気込む。新しい『ナザレの子』のフリープログラムに関しては「曲の変化を意識して表現を変えるように努力するのでそこを見て欲しいです。

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© Shunsuke Nakamura | Instagram

技術的な面、あるいは芸術的な面で刺激になっている選手、あこがれのスケーターは誰ですか。

憧れの選手は高橋大輔さん、羽生結弦さん、宇野昌磨選手です。刺激になっている選手は三浦佳生選手です。

中村選手はジュニア・グランプリに二回(大阪とエレバン)出場する。大阪で自国の観客の前で演技をすることを今から最も楽しみにしている。

山下珂歩選手/ 永田裕人選手

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© Kaho Yamashita and Yuto Nagata | Instagram

昨年の全日本ジュニア選手権で3位となったアイスダンスの山下珂歩と永田裕人選手にとっては、前シーズンは「アイスダンスに対する考え方が大きく変化した」一年だった。練習拠点を倉敷FSCに移し、環境も変え「よりコーチや家 族、沢山の方々に協力をして頂いた」と語ってくれた。同じリンクで練習をするアイスダンスの吉田唄菜選手と森田真沙也選手はよく話す仲間でもあり、刺激にもなっている。また、二人にとって技術的にも芸術的にも憧れのスケーターはたくさんいるが、「特にLilah Fear & Lewis Gibson のお2人が好きです」とイギリスのアイスダンスチームの名をあげた。

今季のフリーダンスではコーチと相談しながら決めた曲「Anytime Anywhere – Beethoven Scherzo」で滑る山下選手と永田選手。新プログラムの振り付けについて尋ねると、「前半と後半でテーマがあり、観て下さる皆様に伝えられるように取り組んでいます」と答えてくれ、フリーダンスのテーマを「光と影」と表現した。

「[フリーダンスは]今までとは違い、シニアを見据えた大人っぽい曲なので、滑りや身体の表現に重みを出す事や、演技中に隙が見えてしまわない様にする事に苦労しています。更に良いプログラムにして、大会等で披露するのが楽しみです。」

話した時二人が一番楽しみにしていた大会は、初めての海外での出場となった8月10日-13日にカナダで行われたケベックサマー杯だった。この大会では山下選手と永田選手はリズムダンス、フリーダンスともに4位の成績を上げ、総合でも4位となった。特にリズムダンスでは新曲を披露し、『Whip It/Africa/Love Shack』に合わせた強い演技を見せた。全く違うスタイルのリズムダンスとフリーダンスを滑って見せることで、彼らの表現力の幅を世界の観客に十分見せきることができた。

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© Kaho Yamashita and Yuto Nagata | Instagram

今季の衣装はどんな感じになりますか。

フリーダンスは2人とも紫をベースにした衣装で、リズムダンスは80年代ファッションをイメージしたカラフルな衣装です。

「今は、フリーダンスもリズムダンスも全体的な完成度を上げる事を意識して練習しています。特にステップを重点的に練習しています」と語ってくれた。いろいろな要素をより高めようと日々励んでいる山下選手と永田選手、シーズンを通して彼らの成長を見るのが楽しみだ。

岸本彩良選手 / 田村篤彦 選手

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© Sara Kishimoto and Atsuhiko Tamura | Instagram

同じくアイスダンサーである岸本彩良 と 田村篤彦 にとって、昨シーズンは組み始めて最初の年だった。有名なスケーターを輩出しているIce Academy of Montréalに2022年の夏から拠点を移した二人は、全日本ジュニア選手権では2位となり、シーズンの最後には国際大会に出場し、「とても濃密で楽しい1年間」になった。

今季岸本選手と田村選手が滑るリズムダンスは『Mr. Roboto』:選曲について2人は、「みなさんに楽しんでもらえるような曲探している時にマリー先生が私たちにぴったりの曲を見つけてきてくれました」と語ってくれた。フリーダンスは、昨年から滑っているプログラム、『パルプフィクション』で、「デビューの年にインパクトを残せる曲として選びました」。このフリーダンスは、ファンの中でも大人気となり、Youtube では数百万回も見られたプログラム、二人の長所であるダイナミックな動きと表現力が見どころだ。「それぞれの曲のキャラクターになりきれるように、練習以外でもイメージしながら過ごしていました。」

今季のリズムダンス、フリーダンス、それぞれの見どころは何ですか(特に観客・ファンの方々に注目してほしいところを教えてください)。

リズムダンスは、ユニークな振り付けが見どころです。フリーダンスはリフトやツイズル、特に最後のパートが見どころです。

今特に磨けをかけている要素はあるかとの問には、岸本選手と田村選手は「パターンダンスでレベル4を取れるように、他には新しいリフトを開発中です!」と答えてくれた。

© Sara Kishimoto and Atsuhiko Tamura | Instagram

今季の衣装はどんな感じになりますか。

リズムダンスは灰色の見てすぐにわかるような衣装です。フリーダンスは持ち越しなので、同じです。

リズムダンス、フリーダンスをそれぞれ一言で言い表していただけますか。

リズムダンスはロボット、フリーダンスは泥棒ですね。

二人は最近行われたケベックサマー杯に出場し、リズムダンスで1位、フリーダンスでは3位となり、総合1位となった。特に新しいリズムダンスではエネルギッシュな振り付けを見せ、プログラムの世界感を表現した。岸本選手と田村選手は9月にジュニア・グランプリに初出場:大阪とグダンスクの両大会で滑る予定だ。去年の躍進を土台にし、今季は「世界ジュニアTOP10、グランプリファイナルに出ること」を目指す。

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氷の上の「物語」:三宅星南選手がグランプリシリーズ、今季プログラム、全日本選手権について語る

To read the English version, click here. 昨シーズン全日本選手権で6位、五輪では三番目の補欠、四大陸選手権で四位という好成績をあげた三宅星南選手は、10月には2つのグランプリ大会に向けてさらなる飛躍を目指していた。三宅選手はスケート・アメリカとグランプリ・フランスに出場したが、残念ながら今回は思うような結果を出すことはできなかった。シーズン集大成となる埼玉での世界選手権(2023年3月20日-26日)への出場権を獲得するため、トップスケーターと対戦する全日本選手権を前に、三宅選手は今の思いを語ってくれた。 2002年に岡山県で生まれた三宅選手は、2006年からスケートを始め、2020-21シーズンの全日本ジュニア選手権で3位に入るなど、年々順位を上げてきた。2020年のNHK杯で9位に入賞したのがグランプリデビューだが、この大会は新型コロナウイルスのため日本の選手のみが出場した大会であった。 昨年の全日本選手権で表彰台に上がったのは今年2月に行われた五輪に出場したスケーターたち(羽生結弦、宇野昌磨と鍵山優馬各選手)だった。日本連盟はその次の三名を四大陸選手権に派遣することを決定し、6位入賞の三宅選手は、今シーズン好調な三浦佳生、友野一希各選手とともに四大陸選手権に出場することができた。 2022年四大陸選手権では、三宅選手はショート、フリー、合計得点で自己ベストを更新する力強い滑りを見せ、総合4位。銀メダルと銅メダルは日本のチームメイトが獲得し、金メダルは韓国のチャ・ジュンファン選手が獲得した。「四大陸選手権で4位になれたことはとても自信につながりました」と三宅選手は語ってくれた。「また、四大陸選手権に出場出来たことでやっとスタートラインに立てたような気がしました。」 © Sena Miyake | Instagram 7月には、6つのグランプリ大会のうち、最初の大会であるスケート・アメリカに出場することが決まった。さらに、五輪で銀メダリストの鍵山優馬選手が怪我のためフランス大会を欠場したことに伴い、アンジェへの出場も決まった。2022-23シーズンは新しいオリンピックサイクルの始まりなので、多くのスケーターは次の五輪を見据えて目標やゴールを 設定している。それは三宅選手も同様で、グランプリ大会の前に「今シーズンは4年後に向けての土台作りのシーズンにしたいと思っています。そのためグランプリシリーズに2戦出場させていただけるのは自分自身にとってとてもいい経験になると思うので、成長できる試合にしていきたいです」と語ってくれた。 スケートアメリカ2022では、17歳のイリア・マリニンがフリーで四回転アクセルを成功させ、観客の喝采の中、シニアグランプリのデビュー戦を金メダルで飾った。チャ・ジュンファン、三浦佳生、ダニエル・グラスルら強豪選手とも対戦した三宅選手は、思うような演技ができなかった。ショートプログラムでは、トリプルアクセルで転倒してしまい、合計点から2点減点された。6位で迎えたフリーでは、転倒やジャンプパスの減点などのミスがあり、総合9位まで順位を落とした。 2週間後のフランス大会のショートプログラムでは、トリプルアクセルをシングルで跳んでしまったため無効となり、10位にとどまった。最終的には体調不良のためフリーを棄権することになり、「グランプリシリーズ2戦とも自分自身にとってはとても残念な結果にはなりました」と三宅選手。それでも、「とても成長できる機会を与えてもらえたと思っています。」そして、これらの大会を今後のバネにすることも考えているようだ:「この経験を活かして全日本ではベストを尽くしたいと思います。」 アメリカ、フランスともにショートプログラムで滑った『Unchained Melody』は、1990年の映画『ゴースト』で有名になった曲で、三宅選手が昨年から滑っているプログラムだ。「今シーズンは今年の2月に作っていただいたプログラム『愛の夢』を滑ろうと思っていたのですが、新ルールに変更になったこともあり、手直しをして頂いたプログラムがなかなかしっくりきていませんでした。そこで試しに昨年使用していたプログラム『Unchained Melody』を滑ってみたところもう一度使いたいと思い、昨年のプログラムに戻すことになりました。」 『Unchained Melody』は、柔らかく始まり、情熱的なフィニッシュへと盛り上がっていく曲。三宅選手の音楽的、感情的なスケーターとしての長所がすべて発揮できる曲だ。 彼の強味は今期のフリープログラムの『タイタニック』でも生かされており、昨シーズンの『白鳥の湖』と同じようなスタイルになっている。タイタニック号が出航するところから始まるフリーは、ステップとコレオシークエンスのディテールや表現に注意を払いながら、観客を物語に引き込んでいく。『タイタニック』、『白鳥の湖』ともに、バレエや映画の大作を4分間という短い時間で表現し、物語を語る試みだ。「昨年の『白鳥の湖』も今シーズンの『タイタニック』も、音楽を聴きながら自分なりに物語の流れであったり、どういう場面なのか想像して表現に落とし込んでいます。」昨年の『白鳥の湖』の衣装は、バレエで見られるような王子様のシャツに、片方の肩と腕に沿った黒い羽を組み合わせたもので、印象的だった。「衣装に関してはその曲や作品に登場する人物をイメージして作って頂いています。タイタニックでは主人公のジャックをイメージして作って頂きました。」このように、三宅選手の衣装は演じる人物、そしてこの人物を通しての物語や世界観を表現する大きな役割を果たしており、ジャンプなどの技術的な要素を超えて、観客や審査員に感動を与えている。 © Sena Miyake | Instagram これまでの経験を踏まえ、この先を見据え、三宅選手が大切にしているのは「成長」。4回転トウループとサルコウを使いこなし、繊細な演技からパワフルな演技まで、多彩な能力を持つスケーターであるだけに、今後の大会やシーズンにおいてTESやPCSがどのように成長していくのが楽しみだ。今シーズン、観客やファンに注目してもらいたいところはあるかとの問には、「今シーズンはプログラム全体のスケーティングのスケールの大きさを観て頂きたいです。昨年に比べ自分自身身体的にとても成長出来ていると感じていて、スケーティングスキルも成長していると感じています」と答えてくれた。 全日本選手権は毎年激戦で知られている上、今シーズンのグランプリファイナルに出場した6人のうち4人が日本人であり、スリリングな大会となることは間違いない。その他の種目でも、女子では坂本花織、三原舞依、渡辺 倫果、住吉 りをん、河辺 愛菜、そしてアイスダンスでは村元哉中/高橋大輔、小松原美里/小松原 尊など、今季のグランプリ大会でお馴染みのスケーターたちが顔を揃える。三宅選手が好きで憧れているスケーターはたくさんいるが、「その中で1番憧れていて目標にしているスケーターは髙橋大輔選手です」と、かつて男子シングルに出場していた高橋選手の名を上げた。 © Sena Miyake | Instagram 来年3月に開催される世界選手権は、日本人選手にとって地元の観客の前で演技ができる特別な機会であり、その出場権を争いとなる全日本選手権も例年以上に白熱するだろう。前回世界選手権が埼玉で開催されたのは2019年:そのときは、羽生結弦がアメリカのネイサン・チェンに次いで2位、宇野昌磨が4位、田中刑事は14位となった。選手たちはよく自国の観客のエネルギーや雰囲気について語るが、三宅選手にとっても「日本で開催される世界選手権に出場するのは幼い頃からの目標です。全日本では今シーズン経験したことを更に活かしてベストを尽くせるようにしたいです。」 © Sena Miyake | Instagram 今シーズンはおそらく今までのどのシーズンよりも、フィギュアスケートがスポーツなのか、それとも芸術なのかという根本的な問いが前面に押し出されているのではないだろうか。むろんその両方であることには間違いないが、この2つがどのように作用し合い、補完し合っていかということを考えると、定義することの難しさの中にこそフィギュアスケートの美しさがあるように思われる。私たちは、スケーターがアスリートとアーティストの両方の役割を担う姿、技術と芸術の融合を何度も目にしてきた。 フィギュアスケートとは何か、たとえば5歳の自分に一言で説明するとしたら、という問に対して三宅選手はシンプルに答えてくれた:「「あなた物語」ですかね笑」。

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